『投資は必要?』資産運用が生むリスクとリターンを理解する シリーズ6.「リスクゼロ」は本当に可能?元本保証の現実を探る

『リスクゼロ』は本当に可能?元本保証の現実を探る

金融商品や投資において、「リスクゼロ」と聞くと、誰しもが安心して投資できるものと思うかもしれません。
しかし、実際に「リスクゼロ」と呼ばれる商品が本当に存在するのか、そしてその元本保証がどれほど現実的なのかについては、少し深く掘り下げる必要があります。
今回は、リスクゼロの実態と元本保証がどういう意味を持つのかを、いくつかの具体例を通して見ていきましょう。

1. 元本保証の商品とは?

元本保証とは、投資したお金(元本)が最終的に戻ってくることを保証するものです。
たとえば、銀行に預金をした場合、その預金額は元本保証されています。つまり、あなたが100万円を預けた場合、銀行が倒産しない限り、100万円は必ず戻ってきます。

このような商品は、リスクゼロと感じるかもしれません。しかし、元本保証があるからといって、必ずしも利益が上がるわけではありません。実際には、元本保証がある商品は多くの場合、低い利回り(利息)しか得られないことがほとんどです。

2. 定期預金と元本保証

定期預金は代表的な元本保証商品です。たとえば、1年満期で100万円を預けた場合、一定の利息がついて返還されます。これにより元本が減る心配はありません。

しかし、リスクゼロと言えるかどうかは、利息を含めた収益性に関して考えると疑問が残ります。例えば、今の低金利時代では、1年満期の定期預金でも利息は非常に低く、場合によってはインフレ率を下回ることもあります。
つまり、元本は確かに保証されていますが、実際に得られる利益は極めて少ないか、物価上昇に追いつかない可能性があるのです。

3. 保険商品の元本保証

もう一つの例は、生命保険や年金保険の一部に見られる元本保証です。
たとえば、終身保険の中には、一定の期間後に解約返戻金が元本を下回らない設計になっている商品もあります。しかし、これもリスクゼロとは言い切れません。
特に、途中解約した場合には、保険料の支払総額を下回る解約返戻金が返されることがあるため、注意が必要です。

また、保険商品の元本保証は、保険会社の財務健全性にも依存しています。万が一、保険会社が経営破綻した場合、その保証が受けられなくなるリスクも存在します。このような背景を理解しておかないと、「元本保証=絶対安全」と誤解する可能性があります。

4. 元本保証がある金融商品でもリスクは存在する

元本保証があっても、実際には他のリスクが存在する場合が多いことを理解することが重要です。
例えば、国債や企業の債券も元本保証とは言えませんが、政府が発行した国債は非常に低リスクの投資とされています。
しかし、企業の発行する債券は、発行企業が破綻すれば元本割れのリスクがあります。

また、元本保証型の投資信託や保険商品などでも、インフレリスク、金利リスク、流動性リスクなどが考慮されていないと、結果として投資家が予期しない損失を被ることがあるのです。

5. 結論:リスクゼロは理論上は可能でも、実際は難しい

「リスクゼロ」の概念は理論上存在しても、実際に完全なリスクゼロを実現することは非常に難しいと言えます。
元本保証がある商品でも、利息の低さやインフレリスク、保険会社の経営状況など、考慮すべきリスクは依然として存在します。そのため、元本保証があるからといって、無条件に安全だと信じ込むのは危険です。

金融商品を選ぶ際は、元本保証があるかどうかだけでなく、リスクをしっかりと理解し、リターンとのバランスを考えることが重要です。安全を求めるなら、元本保証のある低リスク商品を選ぶのは良い選択肢ですが、利益を最大化したい場合は、リスクを取った投資を検討することも必要です。

最後に

元本保証がある金融商品は確かに魅力的ですが、「リスクゼロ」とは完全には言えないことを理解することが、賢い投資家への第一歩です。
リスクを最小限に抑えつつ、どのような投資戦略が自分に合っているのか、じっくり考えましょう。