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難しい金融用語をやさしく解説(その6) ヴァリュー・アット・リスク(VaR:Value at Risk)

資産運用や金融リスク管理の分野で頻繁に使われる「ヴァリュー・アット・リスク(Value at Risk、以下VaR)」という用語。VaRは、特定の期間において「どれだけの損失が発生する可能性があるか」を統計的に示す指標です。一見、複雑そうに感じるかもしれませんが、理解することで投資のリスクをより効果的に管理できるようになります。(その6)では、VaRの基本的な考え方や計算方法、投資における活用法を親しみやすく解説します。 

1. ヴァリュー・アット・リスク(VaR)とは? 

VaRとは、投資ポートフォリオや金融商品が、特定の信頼水準(確率)において、一定期間内に被る可能性のある最大損失額を表したものです。簡単に言うと、「最悪のケースでどれくらいの損失が出るか」を予測するための指標です。 

たとえば、あるポートフォリオのVaRが「99%の信頼水準で1日あたり10万円」と計算された場合、1日で10万円以上の損失が発生する確率は1%以下であることを意味します。 

2. VaRの特徴

VaRは以下の3つの要素で構成されます: 

(1) 信頼水準 
損失がVaRの範囲内に収まる確率を示します。一般的には95%や99%といった信頼水準が使われます。たとえば、99%の信頼水準なら、残り1%の確率でVaRを超える損失が発生する可能性があるということです。 

(2) 保有期間 
VaRが計算される期間を指します。たとえば、「1日」、「1週間」、「1か月」などが設定されます。保有期間が長くなるほど、損失のリスクが高まります。 

(3) 損失額 
計算されたVaRの結果として、金額で表されます。この金額は、特定の期間内で想定される最大損失額です。 

3. VaRの計算方法

VaRは、いくつかの方法で計算されます。代表的な計算手法を以下に紹介します: 

(1) ヒストリカル法 
過去の市場データをもとに、ポートフォリオの価格変動をシミュレーションする方法です。過去の損益分布を利用して、指定した信頼水準に対応する損失額を特定します。 

メリット:実際の市場データを使用するため現実的。 
デメリット:過去のデータが将来の動向を必ずしも反映するわけではない。 

(2) 分散・共分散法(分布に基づく方法) 
資産価格の変動が正規分布に従うという前提で、価格変動率(ボラティリティ)と資産間の相関を使ってVaRを計算します。 

メリット:計算がシンプルで効率的。 
デメリット:実際の市場データが正規分布に従わない場合、結果に偏りが生じる可能性がある。 

(3) モンテカルロシミュレーション 
市場データをランダムにシミュレーションして、膨大な数の価格シナリオを生成し、損失額を推定する方法です。 

メリット:柔軟性が高く、複雑なポートフォリオにも対応可能。 
デメリット:計算に時間とコストがかかる。 

4. VaRの活用方法

VaRは、リスク管理や投資戦略の策定においてさまざまな場面で活用されます。 

(1) ポートフォリオのリスク評価 
投資ポートフォリオ全体のVaRを計算することで、特定の市場変動が与える影響を把握できます。これにより、投資額や資産配分を見直す際の参考にできます。 

(2) 資産配分の最適化 
VaRを基に各資産クラスのリスクを評価し、分散投資によるリスク軽減を図ることが可能です。たとえば、株式と債券の比率を調整する際に、VaRを使ってリスクバランスを管理します。 

(3) 損失限度額の設定 
金融機関や投資家は、VaRを活用して損失限度額(リスク許容度)を設定することができます。これにより、許容範囲を超えるリスクを避けるための戦略を立てることが可能です。 

5. VaRを使用する際の注意点

VaRは便利な指標ですが、いくつかの限界も存在します。 

(1) 極端な市場変動を反映しにくい 
VaRは通常、特定の信頼水準での最大損失額を示しますが、それを超える損失がどの程度大きくなるかは考慮していません。これを補完するために、損失額の期待値を計算する「テールリスク指標」が使われることがあります。 

(2) 過去のデータに依存 
特にヒストリカル法では、過去の市場データが将来の市場動向を反映する保証がありません。市場環境が大きく変化した場合、正確なリスク評価が難しくなることがあります。 

(3) 保有資産の複雑性への対応 
VaRは比較的シンプルな計算が可能ですが、複雑な金融商品やオプションなどを含むポートフォリオには対応が難しい場合があります。 

6. SBI証券でVaRを学び活用しよう

SBI証券では、個人投資家向けにリスク管理のための情報やツールを提供しています。VaRを活用したリスク評価やポートフォリオ管理を学ぶために、以下のサービスを活用してみましょう: 

  • ポートフォリオ分析ツール
    投資ポートフォリオ全体のリスクやリターンを確認し、VaRを参考にした調整が可能です。
  • リスク管理に関する学習コンテンツ
    初心者向けにVaRの基本やリスク管理の考え方を解説した動画や記事が充実しています。
  • 投資信託の商品情報
    投資信託のリスク指標として、VaRやボラティリティが記載されている場合があり、商品の選択に役立ちます。

まとめ

ヴァリュー・アット・リスク(VaR)は、投資や資産運用においてリスクを定量的に把握するための便利な指標です。ポートフォリオ全体のリスク評価や資産配分の調整、リスク許容度の設定に役立ちます。 

ただし、VaRには限界もあるため、他のリスク指標と組み合わせて総合的に判断することが重要です。SBI証券のツールやサービスを活用すれば、VaRを取り入れたリスク管理が初心者でも簡単に始められます。自分の投資スタイルに合ったリスク管理を実践し、賢く資産を運用していきましょう! 

☆彡(その7)に続きます…… 

TARUIKATSUYUKI